言葉と思考の関係に興味がある。幼児期の話し始める時期がかなり遅く、心配した親に病院に連れて行かれたくらいに、大人になってからも引き続き言葉に違和感を感じる事が多いこと、絵を描きたくなる経験からだと思う。自分では絵を描きながら「考えている」という感覚が近いと感じるけれど、ある認知科学の本に「言語を介さない思考というのは、言語を習得した人間には存在しない」と書いてあった。むむむ。と思いクレーの『造形思考』を読み出す。
それとはべつに母国語以外の言語を習熟すると自分の思考の壁を越えられる、ということが具体的にどんな感覚なのかとても知りたく思っていたところ、外国語が全く駄目な私でも有難い事に以下の『べつの言葉で』という本によってそれが少しだけ解った様な気がした。ベンガル語と英語が母語の作家が外国語のイタリア語で書いた初エッセイ。日本で生まれ育った私の言葉(日本語)に対する違和感と、著者のベンガル語、英語に対する違和感を感じる背景に共通点はないのだけれど、新しい言語を取り入れる事によって果敢に壁を乗り越えようとする過程を読むと不思議と絵を描く時の感じと重なるところもあり勇気づけられる。
冒頭の何気ない描写に心惹かれる。好きな言葉の数々。
表紙の写真は何だか軽やか。
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