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  • 執筆者の写真出口朝子

事始め

 約1年ぶりの更新。今年はもっと更新しよう。

 正月休みに韓流ドラマというものを見てみようと思い、amazon primeでどれが良いのか皆目わからないまま、偶然『師任堂(サイムダン)色の日記』を見つけ、これがとっても良かった。李氏朝鮮時代の女性画家師任堂が主人公のお話。

 元々焼き物など朝鮮美術に心惹かれるところがあり、好きな寺院も渡来人によって創建されたというところが多い。よく分からず素敵だと思い持っていた作家ものの装飾品が、ドラマを観て朝鮮風だったのだと今更気付き、改めて好きなんだなぁと思った。

 ドラマは実話とフィクションの混じったもので、物語としても素晴らしく面白いのだけれど、和紙好きとしては高麗紙の事が詳しく描かれていているところが特に興味深かった。韓紙は使った事がないのでどんなのだろう、、、と気になりつつ久しぶりに韓国喫茶李青に寄ってみると少しだけ売っていたので早速購入。韓紙と言っても和紙と同じ様に様々なのだろうけれど今回手に入れたものは鳥の子和紙より生成り具合が強くザラっと温かみのある好きな感じ。パネルに水張りして眺めているとそこはかとなく朝鮮風な気がしてきて面白い。

 ドラマに感化されてかそこで妙にスイッチが入り、素敵な落款を作ってこの紙に押したいという欲望が湧いてくる。ついでに、というかいつも自分の作品のサインがしっくり来ないまま、作品(木パネルの裏)に油性マジックで書いていたのを紙に墨と落款を押したものにしようと思い立つ。

 ネットで石の印材を色々探す内に素敵なものに出会ってしまった。残念ながら石の種類等詳しいことは分からないけれど多分中国のものらしい。小さい方には名前の一文字の朝を、大きい方には好きな言葉を彫ろうと思い色々考えて禅語の“花閑鳥自啼”にした。何やら古い漢字が並び難しげな感じもするけれど意味はシンプルで「満開の花はひっそりとしている。鳥の鳴き声も却ってその静けさを際だたせるようだ。華やぎの中の静寂。そして調和が取れた世界の意味。」という事らしい。

 気持ちを込めて丁寧に彫り進める内に言葉の世界に少し近づけたような気がしてくる。細い線を彫るのは難しく所々切れてしまったけれど、それもどこか鳥の鳴き声がチチチと途切れ途切れ聴こえるような風情かしら。。。

3月なのでお雛様も一緒に記念撮影。

大きい方の石には龍の彫物が施されています。何とも素敵です。小さい方は玉?

親切な入門書。因みに好きな文字を彫るのは成語印というそうな。



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